
「暮らすように旅する」ベトナム・ホイアン|黄色い壁とランタンに包まれるスローライフ
「暮らすように旅する」今回はベトナム・ホイアン。
大規模なリゾートホテルではなく、あえて世界遺産の旧市街に息づく「古い家屋(アシェント・ハウス)」をリノベーションした宿に身を置き、街の一部として過ごす旅の魅力を、2026年の最新情報とともに深掘り解説します。
1. ホイアンの「古い家屋」に泊まるということ
ホイアンの魅力の象徴である「黄色の壁」。なぜホイアンは黄色いのか? それは、黄色がベトナムにおいて「富と敬意」を象徴する色であり、かつ熱帯の強い日差しを美しく反射させる知恵でもありました。
建築が語る多文化共生の歴史
旧市街に並ぶ家屋は、17世紀から18世紀にかけて日本、中国、そして後にフランスの建築様式が混ざり合って完成した独自のスタイルです。縦に細長く、奥に中庭(パティオ)がある構造は、風通しを良くし、雨季の増水にも耐えるための工夫。
現在、これらの歴史的家屋の一部は「ホームステイ」や「ヘリテージ・ステイ」として開放されています。きしむ木の階段、手描きのタイル、そして中庭から見上げる四角い空。ここに滞在することは、単なる宿泊ではなく、ホイアンの歴史そのものに触れることを意味します。
2. 2026年のホイアン:持続可能な観光とデジタルノマドの融合
2026年現在、ホイアンは大きな変革期を迎えています。かつてのオーバーツーリズム(観光公害)への反省から、街全体で「サステナブル・トラベル」が強力に推進されています。
-
歩行者天国の拡大: 以前よりも車両進入禁止エリアと時間が拡大され、旧市街の静寂がより守られるようになりました。
-
プラスチックフリーの徹底: 旧市街のカフェや宿では、プラスチック製品の使用が厳しく制限されています。
-
デジタル・コネクティビティ: 歴史的な景観はそのままに、各宿の通信環境は飛躍的に向上。2026年には高速Wi-Fiが完備された「古民家ワークスペース」が増え、世界中からデジタルノマドが「1ヶ月単位」で住まう姿も日常となりました。
3. ホイアンでの1日:ゆったりしたリズムに身を任せる
「暮らすような旅」の醍醐味は、何もしない贅沢を知ることにあります。
AM 7:30|ベトナムコーヒーと朝の静寂
ホイアンの朝は早いです。観光客が押し寄せる前の数時間、旧市街は本来の顔を見せます。 地元の人が集まる小さなカフェで、「カフェ・フィン(Phin)」を注文しましょう。アルミのフィルターから一滴ずつ落ちるコーヒーを待つ時間は、ホイアンのリズムそのもの。 2026年のトレンドは、伝統的なコーヒーに加えて、近郊のダラット産の高品質なアラビカ豆を使用した「サステナブル・サードウェーブ・コーヒー」。コンデンスミルクの甘さと、力強い豆の香りが、眠っていた感覚を呼び覚まします。
AM 10:00|市場の喧騒を歩き、お誂え(オーダーメイド)へ
ホイアン市場(Cho Hoi An)へ足を運びましょう。山積みになった南国のフルーツ、その場で調理される「カオラウ(ホイアン名物のうどん)」。 ここで食材を調達した後は、街に点在する仕立て屋(テイラー)へ。ホイアンは世界有数の「仕立ての街」です。2026年は、伝統的なシルクだけでなく、環境に配慮したリネンや竹繊維(バンブー・ファブリック)を使った「一生ものの1着」を作るスタイルが人気です。
PM 4:00|トゥボン川沿いの散歩と「塩コーヒー」
夕暮れ時、日差しが和らいだらトゥボン川沿いを散歩します。 ここでぜひ試してほしいのが、近年爆発的な人気を博している「カフェ・ムオイ(塩コーヒー)」。クリーミーな泡の上にわずかな塩気を加えたこの飲み物は、ホイアンの湿度の高い夕暮れに驚くほど合います。
PM 7:00|ランタンの灯りとスローな夜
夜、ホイアンは魔法にかかります。色とりどりのシルクで作られたランタンが灯り、水面にはその光が反射します。 2026年現在、環境保護の観点から川へ流す灯籠はすべて生分解性素材へと変わりました。観光客向けの喧騒から少し離れ、一本裏の路地にあるバーで、地元のクラフトビールを飲みながら、静かに更ける街を眺めます。
4. 滞在を成功させるための実践的アドバイス
ホイアンで「暮らす」ために知っておくべきヒントです。
-
自転車を相棒にする: 旧市街はコンパクトです。宿で借りられる自転車があれば、旧市街から15分ほどで美しい田園風景やアンバンビーチまで足を伸ばせます。
-
キャッシュレスと現金の使い分け: 2026年には、屋台でもQRコード決済が普及していますが、小さな寺院の寄付やチップには少額の現金(ドン)が必要です。
-
「不便」を愛する: 古い家屋は防音が甘かったり、天井が低かったりします。しかし、それこそが「歴史の中に住む」醍醐味。完璧なサービスを求めるなら高級リゾートへ、物語を求めるなら旧市街へ。
5. まとめ:黄色い壁の中に、自分の居場所を見つける
ホイアンでの滞在を終える頃、あなたの心にはあの独特のリズムが刻まれているはずです。
観光地を「消費」するのではなく、その土地が持つ時間に自分を合わせてみる。黄色い壁の路地で、近所の人と挨拶を交わし、お気に入りのカフェの椅子を「自分の指定席」にする。そんな「暮らすような旅」は、日常に戻った後のあなたを支える、温かな光のような記憶になるでしょう。
2026年、進化を遂げつつも魂を守り続けるホイアン。そのランタンの灯りの下に、あなたの居場所が待っています。
世界遺産ホイアン旧市街。ノスタルジックな風景が広がるこの街で、観光客としてではなく、一人の「住人」として朝を迎え、夜を待つ。そんな贅沢な体験をしてみませんか?


この記事へのコメントはありません。